工芸技法
【形成法】 宙吹き型吹きパート・ド・ヴェールスフレ
【装飾技法】 アプリカッシオン(アップリケ)アンテルカレールヴィトリフィカッシオンエッチング(酸化腐蝕彫り)
エナメル彩(エマイユ彩)エモー・シャンルヴェエモー・ビジュウカボション
被(き)せガラスグラヴュールリッシュールジヴレパチネペルル・メタリック
マルケットリー(ガラスの象嵌技法)マルトレ模玉ガラス
形成法
宙吹き
窯の中でドロドロに溶けたガラスを、吹竿と呼ぶパイプに捲き取り、空中で吹竿をまわしながら成形する方法。一切の型を使わず、ハサミやこて板などで形を整える。ガラスの吹きかげんが難しく思い通りに吹き上げるには熟練を要する。ガレの作品の多くは、この成形法によりつくられている。

型吹き
制作したいガラス器の型を、木、粘土、金属でつくり、その中に溶けたガラス種を吹竿で吹き込んで成形する方法。宙吹きではできない特殊な器形をつくるのに適しており、多様な形、型文様のガラス器を制作することができる。
パート・ド・ヴェール
ガラスの練り粉というような意味を持つ。粉々に砕いたガラスを耐火石膏でつくった型につめ、そのまま窯の中で焼きあげ、徐冷後、型からはずし磨きをかけて仕上げる成形法。パート・ド・ヴェールは、ガラスの色を自由に調合し、細かい部分にも自在に色をつけることができるため、極めて表現豊かな作品をつくることができる。古くはエジプト、メソポタミア地方で使われていたがその後断絶し、19世紀の終わりにフランスの彫刻家アンリ・クロが再発見した。

スフレ

型吹きの一種。あらかじめ型の中に、果実、人物、動物などのレリーフを凹刻しておき、その中にガラスを吹き込んで文様をつける技法。スフレはガラスを吹くことを意味している。
pagetop
装飾技法
アプリカッシオン(アップリケ)
ガラスがまだ熱いうちに、あらかじめ文様の形に準備した色ガラスを部分的に熔着(貼付)する技法。徐冷後、グラヴュールで細部を彫り出し、写実的形態を与えることが多い。レリーフ状のアップリケを研磨したガレの作品は、ガラスの彫刻と呼ぶのにふさわしい。

アンテルカレール

透明ガラスの層の間に色ガラスでつくった文様を挟み込み、表層に彫刻を施して文様が重なり合って見えるようにする技法。装飾に深みをもたせることができる。ドームが特許を取得した技法であるが、ガレの作品にも同様の表現がみられる。
ヴィトリフィカッシオン
熱いガラス素地に色ガラスの粉をまぶして付着させ、再び炉の中に入れて素地によくなじませる技法。多数の色が混じり合った地紋を比較的容易につくり出せるメリットがあり、ドームが多用した。

エッチング(酸化腐蝕彫り)

弗化水素と硫酸の混合液でガラスを腐蝕させ、文様を彫り出す技法。ガラスの表面を瀝青やパラフィンなどの保護膜でおおった後、文様部分の被膜をのこして酸にひたすと腐蝕され文様ができる。これがエッチングによるカメオ彫である。ガラス表面に落ち着きのある艶消しを施す場合にもこの技法が使われる。アシッドともいう。

エナメル彩(エマイユ彩)
低融点の色ガラスを砕いて顔料をつくり、これを油や松脂で練ってガラス表面に彩画、焼きつける技法。顔料のガラスが溶けると素地もわずかに溶け、剥落や変色しない絵付けができる。このエナメル顔料には透明と不透明があり、技法的にも種類が多い。不透明顔料を盛りあげて着彩する方法や、油絵具のように混ぜ合わせる彩画などがある。

エモー・シャンルヴェ

ガラスを凹刻した窪みに金彩やエナメル顔料を表面が平らになるまで盛り上げて彩色する技法。

エモー・ビジュウ
「宝石七宝」の意味。金、銀、プラチナ箔をガラス器に熔着し、その上に半透明あるいは無色のエナメルをかけて低温度で焼成する技法。キラキラと宝石のように輝くことからこの名がある。

カボション

ガラスの表面に半球状の丸味をもった色ガラスの小塊を熔着すると、宝石のカボション・カットに似た効果が生じる。金・銀箔などを挟み込むことも多く、デザイン上のアクセントとして有効な装飾である。

被(き)せガラス
ガラス素地に異なった色のガラスを部分的あるいは全体にわたって被せかける技法。ガラス器の断面には色ガラスの積層が見られる。グラヴュールやエッチングによって深浅を加減しながら彫刻を施すと、色調の段階的な変化が得られるカメオ彫となる。

グラヴュール

ガラス表面を研削して、文様や文字を彫刻する技法。直径が10センチから0.5センチほどの銅などの金属円板を回転させて、ガラスを凹刻。アール・ヌーヴォーのガラス器では、草花文様等をレリーフ状に彫り出すために使われている。カット加工に比べ非常に細かい部分まで表現できるため、技術のゆるす限り芸術性の高い作品を作ることができる。グラヴュールはその細かさに応じて、ムール、ルー、モレット、シズレなどに細分される。

サリッシュール
ガラスの素地に各種の金属酸化物の粉末を部分的にまぶしつけ、斑紋を生じさせる技法。ガラス素地に不純物が混入することは従来は失敗作とみなされていたが、ガレは積極的にいろいろな金属酸化物を使い複雑な色調の斑紋ガラスを開発した。

ジヴレ

酸の腐蝕作用によってガラスの肌を荒らし、霧氷模様をつける処理のこと。同様の処理でガラスの表面を梨地に仕上げる技法をフロストと呼ぶ。

パチネ
ガレが考え出した特殊な技法。透明ガラスの素地の中に失透現象をおこすような化合物を入れておき、錆色などにくもらせる効果を出す技法。古銅や古金属のような感じを出すこともできる。

ペルル・メタリック

ガラスの間に、金、銀、プラチナ箔などの細片を挟み込み、キラキラと輝く地紋をつくる技法。同様に、ガラスの間に比較的面積の広い箔を挟み、素地に変化をつける技法をサンドウィッチと呼ぶ。

マルケットリー(ガラスの象嵌技法)
加熱した素地に色ガラスの小片を象嵌し、再び熱をかけて文様をつくる方法。素地と文様が融合して独特の効果をあげる。ガレはこの技法を家具の寄せ木細工(マルケットリー)から着想を得て創り出した。1898年には特許を取得、1900年万博では他作家を圧倒してグランプリを受賞。技法的にはかなり難しく制作途中での破損が多い。

マルトレ

ガラスの表面に金工の槌目のようなカット文様を施す技法。ドームの作品にしばしば見られる。

模玉ガラス
琥珀、めのう、ひすい、大理石といった天然素材に似せたガラス素地をいう。金属酸化物を調合して色むらのある発色をさせたり、異色のガラスを練り合わせて縞目を出したりする。ガレの作品を特徴付ける複雑な色調の素地はこの技法による。

pagetop